今日の一枚 part

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モロッコ7日目:ハリーという人

JUGEMテーマ:旅行

20101201_children
 ハリーの家の玄関前で、お肉を焼いてる男の子


 

最初にハリーに声をかけたのは、私の方からだった。

私は大迷宮と例えられているフェズの旧市街の中を文字通り迷っていて、ひっきりなしに降り続く雨に打たれ、スニーカーからはじわじわと水がしみ込んできていて、体調は最悪だった。とにかく早くこの状況を脱したいと必死だった。

ガイドブックにある地図で民営バスオフィスを探すと、その近くにはランドマークとなるような建物が見当たらない。あるとすれば、最も近いメディナの門だ。私はひとまずその門を目指した。
けれどガイドブックの地図などアテにならないほどメディナの中は複雑で、迷っているのを楽しんでる余裕もない私は、道行く人に門の名前を言っては、道を聞き歩いた。けれども発音が悪いのか、現地語しか理解できないのか、人々はわからないらしく顔を横に振っては去ってしまう。ある人は門の下に設置された護衛所のような小さな小屋を指さした。あそこで聞けということか。
そこにいる人ならきっと観光客を相手にしているだろうから、理解してくれる可能性は高いとみて、私は喜々として駆け寄った。そこにはガードマンのような服装をした男性がひとり座っていて、同じように門の名前を言うと、理解したかのようにうなづいて、そして説明をしてくれた。けれど彼の説明は現地語とたどたどしい英語だったため、私は彼の指さす方向にとにかく進み、その先でまた人に聞くしかないと思い、お礼を伝えて指さす方向減向かった。

もしかしたら私の発音が悪くて間違えて認識されていたとしたら、無駄足になるかもしれない。
とくに現地語が英語ではない国では、ガイドブックに書かれた通りに発音しても、実際とは異なる場合が多い。
もうこれ以上はこの雨の中をさまよいたくない。嫌だ、嫌だ。。。けれど今与えられたヒントはそれしかないのだから、行くしかないのも事実。私は気持ちを奮い起こして、まっすぐ50mくらいはある道を歩いていた。もし違っていたらどうしよう。そんな不安を解消するために、すれ違う人たちに確認の意味を込めて門の方向を聞いていった。その人が、ハリーだった。

ハリーは陽気な笑顔と高いテンションを持っている人で、英語を話すことができた。
そして、とても親切で、門の場所だけではなく民営バスまで案内してくれるという。これなら確実に辿りつける。私は藁にもすがる思いで、ありがとう、と伝えた。


photo by mamiya2
 

 

彼は歩きながら様々な話をしてきた。

自分は28歳であること、学生であること。

今思えば学生というのもおかしな話なのだけれど、私は大学院に進学しなおしたのかと都合よく解釈をした。

話の流れで私がバスに乗ってこれからどこへ行きたいのか聞かれたので、メルズーガだというと、バス会社はSUPRATOURがいいと教えてくれた。

CTMは高い。SUPRATOURなら安いしいいバスだと。しかし私を落胆させたのは、バスは夜の20時発だということだった。

結局1日この街にいなくてはいけないらしい。だったらCTMでも変わらなかった・・・。

 

彼はフェズの町が一望できる場所があるといって、右手に墓地がある坂をのぼりはじめた。

私は正直疲れ果てていたし、雨のフェズを一望することに魅力を感じなかったし、何よりも早く雨にぬれない場所に避難したかった。

とはいえ私も日本人。はっきり断ることができないし、かといって遠まわしに断る英語力もない。とりあえず「私は疲れたから、遠いならいい」と言うと、彼はすぐだよという。

こうなったらもう、さっさと済ませようと思った。どのみち出発は夜だとしたら、早くバスチケットを買って、どこか安宿のベッドでも確保したいのだ。

が、まだ坂を登る。いい加減にしてほしい。。

「遠いよー!もう疲れたから帰る」そう愚痴ると、彼はタクシーを拾ってくれた。

そしてすぐにフェズの町が一望できる場所へと到着した。

彼は「Good?」と聞いてくるので、正直ちょっと迷惑とも言えず、波風を立てないためにGood viewと適当に答えると、彼は満足そうな笑顔を見せた。

どんよりと雲が垂れこめたフェズの町にレンズを向け、数枚の写真を撮ると、彼はすぐ横にある家を指さして言う。

「あそこは、僕のおじさんの家なんだ。」

 

出たーーーーと思った。これだったかと思った。

「家族がいるよ。お茶でも飲んでいかない?」

そう言われ、ここで断固断って帰ろうか逡巡したけれど、まだ民営バスの場所を知らないことに気づく。

この坂を下り、そしてまた英語が話せる人を探すことは、振り出しに戻るどころかマイナス地点に行く気持ちで気が遠くなりそうだった。ひとまず、彼が悪い人だと決めるけるのは早い。家の中の様子を見て危なそうであれば断ろうと思った。

 

庭のアーチをくぐると、23段ほどの段差を降り、そこに玄関のドアがあった。

ドアを開けると、白いタイル張りの通路があり、その奥に広くなった部屋があるようだった。彼が何事か声をかけると、歳をとった女性が出迎えてくれた。

ハリーの後ろについておそるおそる入ってみると、奥の部屋はリビングであるらしく、壁のタイルの延長のようなベンチシートとテレビが置いてあった。約5畳くらいのスペースだろうか、絨毯も敷かれてなく、とても殺風景で寒そうな部屋だった。

ソファーには普通のおばちゃんと、娘たちがいた。

現地語しか話せない彼女らは、彼の濡れた上着を壁につけられたフックにかけると、次に私のレインコートや手袋もかけてくれた。

そして彼女らに笑顔でソファーに座るように促され、しばらくするとトレーに67個の空のコップがのせられてきた。うち二つにはハーブのような葉が入っていた。これはモロッコの紅茶だ。おそらく、あのどちらかが私に差し出されるのだろう。

 

・・・よく、お茶の中に睡眠薬が入っていて、目が覚めると身ぐるみをはがされるという話を聞いたことがある。

状況的にはそうなってもおかしくないシチュエーションだ。

もしそうだとすると、私のコップにだけ入っているはずだから、彼に出されたコップと私のとを交換してしまおうか・・・。。

そんな事を考えていたけれども、その叔母さんのあまりもの普通な態度にいつしか警戒心は薄れ、えい!飲んでしまえ!と思いきった。もし眠くなってきたら、すぐにこの部屋を出よう、とだけ決めて。

 

結果的に、私は眠くはならなかった。

そしてハリーは言う。「僕の実家はメルズーガで宿をやっているんだ。」と。

そうなんだ!というと、彼は「うちの宿に泊まりなよ。」というので、いくらかを聞いてみると

 

HOTEL 500

TANT 150

LUNCHBRIKFAST 300

GUIDE 50

TOTA 1000

 

ていうか・・・ありえないから・・・・

ホテルで二食込みで、せいぜい200でしょう。

それが別でなんてありえないし。

 

私は、これは高い。それにテントはいらないといった。

それでも彼はなんとか言ってくるので、HOTELは朝食込みで200DHならいいよ。

他はいらない。夕食もいらない、といった。

彼はしぶしぶOKした。



そして、「僕もメルズーガに行きたいから一緒のバスに乗っていい?」と。

そんなのは個人の自由だ。あなたが実家に帰るのを私は止める権利はない。そう思って「好きにすれば?」という意味を込めて、いいよ、と答えた。

 

そして彼はプランをたてはじめる。

バスの出発は20時だ。だからそれまでにCTMバスターミナルまで私の荷物を取りに行って、バスチケットを買って、それで僕の荷物も準備するので、この家で出発時間まで待機しよう、と。

私はこの体力でこの雨の中、ひとりでそれら全てをやる気力がなかったので、了解した。

 

そして実際彼は予定通り、タクシーでCTMバスターミナルへ向かい、民営バスターミナルへ行って、チケットを購入し、彼の家へ戻ってきた。彼の家では4歳くらいの男の子がいて、玄関とリビングを結ぶ通路で肉を焼いていた。

玄関の扉を開けてはいるものの、部屋の中に煙が充満する。

煙が目にしみて目をあけていられなくなる。。彼らはナンのようなものに、そのお肉を巻いて、私に渡してくれた。一口食べてみる。お、美味しい!スパイスの味は濃いけれど、お肉はジューシーでとても美味しかった。のどが渇いたのでさっきテーブルに置いたミネラルウォーターを探すと、なんと!伯父さんに飲まれていた。えーーー!そういうのあんまり気にしない人たちなのかしら・・・私は飲む水を失って、ごっくんと唾で飲みこんだ。そして結局勧められるがまま3つくらいを食べ、ひとつを持ち帰ることにした。

 

私は疲れたので、隣の暗い部屋に移動した。

そこにはやはり壁の延長のような冷たいベンチシートがあり、その上の毛布が置いてあった。誰かが寝ていたような後があるから、この寒さをここでしのぐんだろう。

 

は、入りたい・・・。

寒すぎる。眠たい。あぁ・・・。

 

結果、私は吸い込まれるようにその毛布の中に体を潜らせた。

湿った靴下が寒い。だから靴下も脱いだ。裸足になった足は、とてもひんやりと冷たく生気を失ったようだった。

少し、少しだけでいいから、眠らせてほしい。。

私は隣室の喧騒を横目に、毛布にくるまってうとうととしはじめた。

 

眠りは浅かった。

誰かが部屋を覗きに来ればすぐ気付くくらいだ。

ハリーが私を呼びにきた。けれども寝ている私を見て、出発まで2時間あるから寝るといいよと言ってくれた。

よかった。。。これで睡眠がとれる。

 

私はお言葉にあまえて、2時間、眠った。

いくら寝てもなかなか体は温まらなかった。

そりゃそうだ。昨夜からずっと冷やし続けられた体なのだから。

私はこうやって食事と寝床を与えてくれたことに感謝して眠った。

 

そしてうっすらと眠りについていた頃、起こされた。

もうすぐ出発するという。

私は乾いた靴下に履き替え、濡れたままのシューズを履いた。

そして、ないよりはマシだと、濡れた手袋をはめた。

ジーンズの裾はまだ湿っていた。

 

家を出て、坂を下り、タクシーを捕まえた。

ハリーは私のスーツケースを持ってくれている。ありがたい。

タクシーに乗ると、5分ほどでSUPRATOURのオフィスについた。

ハリーはまだチケットを購入していなかったので、カウンターで私の購入済みのチケットを見せた後、彼もお金を支払っているようだった。

私はスーツケースを預け、ベンチに座り出発を待った。20時出発だと思ったけれど、結局21時くらいまで待たされた。

 

その間、ハリーはアラビア語で、ここの社員なのか、それとも全く関係ないただの知り合いなのか、男性とずっと話をしていた。

だんだん荒くなる口調。どうやら、口喧嘩をしているみたいだ。けれどアラビア語なので全くわからない。

私が大丈夫?と英語で尋ねると、彼は大丈夫だと言って、イライラした様子でオフィスの外に出てしまった。

そしてまた口論しているのが聞こえてくると思ったら、オフィスの外でまたやり合っていた。怒鳴り合っている。

もしかして、彼の席がないのだろうか?そう思ったので、しばらくして戻ってきた彼にもう一度訪ねた。

「なにがあったの?」

彼はイライラした様子を隠せないまま、それでもなるべく落ち着いて答えようとする。

「彼らは、ミキを騙そうというんだ。あいつらは悪いやつらだ。」

他にも何か言っていたようだけれど、そんなようなことだけ理解できた。私を、騙そうとしている?まだ会ったこともない彼らが?

あり得るのかもしれない。

「へい!ハリー!そのアジア人はどうしたんだい?」

「彼女は旅人で、これからメルズーガへ行くというからサポートしてあげてるんだ。」

「旅人?じゃあ、ちょっとバスチケットとか高く売りつけようぜ」

「何を言ってるんだ!彼女は僕の友達だからそんなことはできない!」

そんなところ・・・?

 

よくわからないけれど、彼は私は友達だから守った、というようなことを言っている。

それで、あんなに口論になるの?よくわからない。。。

 

そしてバスに乗り込んだ。

まさかと思ったけれど、ハリーは隣に座ってきた。

チケットを買ったタイミングが違うので、隣のシートになることはないだろうと思っていたのだけれど。

バスは全く混んでいなかったので、わざわざ隣に座ることもないのになぁ、別の席に行こうかな、と思ったけれど、私は窓側の席だったので気軽に移動することができない。

移動時間は10時間。ここで眠るわけだけれども、できれば広く寝たいなぁと思った。

まぁ、もしかしたら途中で他にお客さんが乗ってくるかもしれないし、様子を見てあとで移動しよう。

 

そして、車内はやっぱり、寒かった。ETCほどではないにしても、やっぱりなぜかエアコン・・・・。

すると、彼はリュックからブランケットを取り出してかけてくれた。

ありがとうとお礼を言う。助かった。

そして、当然なのかもしれないけれど、彼はそのブランケットを自分にもかけた。

うーーーん。。。一緒にひとつのブランケットを使うのかぁと思ったけれど、彼の善意だし、私だけ使うわけにもいかないし、かといってこれがないのは寒くて死ぬ。

そしてつまり、二人でひとつのブランケットを使っている限り、私は席を移動できないということにもなる。

 

ジーパンの裾は濡れ、シューズは湿っぽく、とても寒かった。

背に腹は代えられない。とにかく、我慢することにした。

 

そして、私はすぐに眠りについた。

 

・・・・何だか、すごい暖かかった。

温かさで目が覚めたのか、何かの違和感を感じて目が覚めたのか。

気がつくと、私の足がハリーの足の上に乗っていて、そこがとても温かかったのだ。

ありがたいくらいの温かさ、私はこの1日求めていたような温かさだ。

 

え!!!!!!!!!

 

あ、足が乗ってる!!??

え?

意味不明???

 

ちょっと考える。

これはどういうことだ?

私が自分でのせるわけがないから、ハリーがそうしたのか??

 

とっとにかく離れよう!!!

私は、寝がえりを打つふりをして、足をどかした。

そしてまた眠った。

 

今度は気づくと、ハリーが私の肩に頭をのせていた。

ま、まぁこれは電車の中ではよくあることだけれど、でも、やだな・・・。

そう思って、これまた寝がえりをうって離れた。

すると、ハリーは私の手を握ってきた。

そして私は確信する。

こいつは確信犯だと。

 

それから手袋を脱がそうとしてきたり、また寄りかかってきたりしたけれど、私は全てを拒絶するように窓側へ体を向けると、気づいたのかそれ以上はしてこなかった。

 

やだなぁ。。。

これか、これがアラブ圏で多いセクハラってやつか。

 

私は、ハリーにがっかりしていた。



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ハリー

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