今日の一枚 part

My style,My life 〜心に響く写真を、心に残る何かを。

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切り取られた記録

201008.11_sora

JUGEMテーマ:写真



 

photo by mamiya2

 
ただの何もない休日、彼と一緒に家を出る。
彼はプールへ泳ぎに、私はスーパーへ買い物にと手を振って別れる。

「ばいばい。じゃあ、あとで適当に。」

風が優しく吹いてくる。
太陽が優しく降り注いでる。
あれは、日差しのそう強くない、春か、きっと秋頃。

普通の、本当に普通の日常が、とても幸せだった。
彼のために手料理を作り、洗濯をし、廊下の足音に耳を澄まし、
そのひとつひとつが、どれも、とても幸せだった。

プールの帰り道、彼が、花椿をひとつ道端から拾ってきた。
ぽいっと、まるで街頭で配られたティッシュかのごとく手渡される。
そんな普通のことに、やたら感動して、嬉しくて嬉しくて、
この感動を残しておきたくて、写真に撮った。

あの頃の、そんなずっと続くと思っていた幸せを描いた「二人日和」

出版した当時、読者から「あれは、実体験なんですか?」と聞かれて、
なんだか照れくさくて「さぁ、どうでしょう。作家ですからね(笑)」と笑ってごまかした。
その時の、生の自分の感情をそのまま書いたエッセイ。それを露呈させることを決めたのは自分なのに、やっぱり、うんと認めるのはちょっと恥ずかしかったかんだ。

けれど今の私は違う。
二人日和を、まるで赤の他人の作品を見るかのように、発見しては、じんわりきて、ちょっと涙する。
そう、もうあの頃の自分と今の自分は、別人なのだということを強く自覚した。

あれから時が経ち、その彼とも別れ、たくさんの涙を流し、さらに時が経ち、
気付けば、涙と一緒にあの頃の私はもうどこにもいなくなっていたんだ。

あんな風に日常に幸せを感じることも、たわいないことへの小さな感動も、
誰かの気持ちを純粋に信じて無邪気に好きでいることも、できなくなっていた。
二人日和は、私の人生で最も誰かを真っ直ぐに愛した時の気持ちがつまっている”記録”になっていた。

人は変わる。こんなにも変化する。
そんな悲しいことだけど、その時にしか書けないことがあるのも事実。
もうあの作品は私には書けない。
あんな風に日常の小さなことが素晴らしいほど感動的で幸せに感じていた私には戻れないのだ。

最近なんか感情が揺り動かされることがなくて、
写真も取れなけりゃ言葉も浮かばなかったんだけど、
恥ずかしくてもなんでも、とにかく今の自分をさらけ出していくことを億さずに書いていこう。
いまの自分は、いましかいないんだから。
そこに投影した自分が、自分じゃなくなるときが、いつか来るんだから。

こんど「あれは実体験ですか?」と聞かれたら、そうです、と言おう。
その時の私が素直に感じたことだと。
一滴も漏れずに書いた、ありのままの自分だと。

ただ、もうその時は私はいないけれど。

そして、もうあんな風に誰かをまっすぐ愛せることはないんだろうと、失われた自分に涙した。


 

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