今日の一枚 part

My style,My life 〜心に響く写真を、心に残る何かを。

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暗いところで待ち合わせ 乙一

JUGEMテーマ:日記・一般

kuraitokoro


朝、目覚めると、窓から差し込む光がぼんやりと視界に映る。
ああ、朝になったんだと思いつつも、すぐに時計を見て確認をしたりはしない。
そして、私を包む羽毛布団の感触を確かめるようにしっかりと頬ずりをする。
もっと、深く、深く、うずもれるように。

時計を見なくちゃいけない。
あと1時間は眠れるのかもしれないし、もう起きないと間に合わないのかもしれないし、既に遅刻なのかもしれない。
それは、時計を見ないとわからないことだ。
けれど、時計を見ないことでしばしの現実逃避を楽しむ。あと5分時計を見るのが遅かったところで、きっと現実への影響はそれほど大きくはないだろうから。

このまま眠り続けていたい。
会社も辞めてしまって、携帯もとまってしまって、誰とも連絡をすることもなく、ずっと、ずっと眠り続けていたらどうなるんだろう。
そして、そのままの姿勢で眠るように死ぬのだ。生きていても仕方ないのだから、それもいいかもしれない、と。

けれど合理的な方の私は知っている。
現実はそうはならないということを。
寝すぎで体が痛くなるし、お腹は減るし、トイレにだって行きたくなるし、そしてきっと何よりも、孤独に耐えられなくなるだろう。
ただちに会社を辞めたことを後悔し、連絡の途絶えた友人との時間を巻き戻そうと必死になって携帯を操作しているのかもしれない。
その姿は、ちゃんと時計と向き合って決められたように会社に向かう私の姿よりも、何十倍も悲しい。

結局、死んだように生きることなんてできないんだ。
生きている限り、何かを望み、何かを期待し、何かを欲するだろう。
誰とも関わらずに孤独でいることなんてできるわけがない。
特に私は健常者なのだ。


盲目になったミチルの孤独が、胸に刺さる。

彼女は真っ暗やみの世界の中、
一人で生きていくことを覚悟し、あらゆる感情を摩耗させていった。
そして、上っ面だけの強さを塗りこんでいって、
きっと大丈夫だと、涙を飲み込みながら自分に確認をしていった。
ささくれだった心も、いつかはそれすら気づかなくなるだろうと。

本当は誰かにいてほしかった。
本当は誰かに必要とされたかった。
本当は誰かに許されたかった。

アキヒロの孤独が、ミチルの孤独が、痛いほど重なった。
彼女らの感情を、思考の経緯を、私はなぞった事があるかのように覚えていた。

 

photo by mamiya2
JUGEMテーマ:日記・一般

 


20歳前後で盲目になり、暗闇の中に閉じ込められた彼女は、
それまでの外部との接点を断ち、卵のように包まれて守られて生きている。
家が殻なら、暗闇が白身で、そして彼女という黄身がある。

毎日をただ息だけをして生き、誰とも関わることがなければ、
何かに憧れる事も、だからこそ焦燥感を得ることもない。
精神的に揺らぐことのない安定した毎日を送ることができる。
そしてまったりとした暗闇に包まれたまま、それが眠りなのか死なのか自覚のないまま息絶えるのだ。

そんな彼女の家へ潜り込んだ殺人の容疑者アキヒロ。
彼は彼女に気づかれないよう、息を殺してひっそりと彼女の家にもぐりこみ、奇妙な共同生活が始まる。
そして彼女が彼の存在に気づいたときに、二人の間に言葉のない交流が生まれる。
それこそがまさに、ココロの交流だ。

他人を排除することで自分という人間を守ってきた二人は、
そこからそれぞれの結論に辿り着く。

彼女は、誰かという存在がいることで改めて認識する。
人は一人では生きれない、ということ。

彼は、彼女が自分の存在を受け入れてくれたことで初めて気づく。
必要なのは自分を許してもらう存在だったのだ、と。

その存在の安心感というものを、微細な心の変化を、見事に描かれている。
そっと、ゆっくりと、やさしい物語だ。

こんなところで、、というところでボロボロと泣いていた。
他人を排除して生きられたら、どれほど安定するだろう、という思いと、
結局は他人なしでは生きられないのだ、という思い。

それは「他人」というひとつ言葉では括れない、
一握りの「心の通う他人」を見つけるという果てしない旅を、
二人は彷徨い、そして終えた。そういう物語だ。


 

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