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ユージニア -恩田陸 ★★★

 yu-jinia



物語の構成が不思議。
これが恩田ワールドというものなのだろうが、パズルのピースを組み合わせていくような感覚だ。



 

photo by mamiya2
JUGEMテーマ:日記・一般
 

これは20年前に起きた大量虐殺事件の真相が、関係者のインタビューを通して徐々に明らかになっていくというもの。とはいえ、最後に行き着いた真相も、ぼんやりとしていてすっきりしない。

話者は章ごとに常に変わり、1頁くらい括らないと誰が語り手なのかわからず途中々迷子になってしまう。けれどそれも恐らく著者の狙いで、そうすることによってあたかも自身が聞き込み調査をし、断片と断片をつなぎ合わせ推理していっているような臨場感が味わえる。

田舎町のうだるような暑さ。
いろんな閃きや推察がぐるぐると頭の中を駆け巡り眩暈がしそうな様子。
それらがリアルに伝わってくる。

唯一、真犯人だと最初から疑われて描かれていた盲目の美少女の意識とは融合することはないけれども、神々しかった美少女は目が見えるようになった途端、どこにでもいる普通の中年女になっていた。
それを客観的に描かれているのもいい。

偶然や巡り合わせでこの事件が起きたと最後は匂わせているが、
果たして本当にそうだったのか?盲目の美少女に意思はなかったのか?
古本屋の消失は?実行犯の自殺は?そこには彼女は絡んでなかったのか?
結局そこらへんがすっきりしないで読者任せにされているのは、ちょっと読後感が良いとはいえない。

評価の分かれる恩田ワールドだけど、私は正直、読みづらかった・・・。
話者が毎回変わるのは理解力が必要なので、古典を読んでるときのような根気が必要だった。
けれども全体感のわからない中で自分の記憶力と思考力を頼りに少しずつ解き明かしていくため、
最後にはもう一度最初から読み直してみたいと思わされるし、実際2度目にはまた違う小説として愉しめると思った。そのときにはきっと初読のような読みづらさはないだろうし。

それと私的に印象に残ったことがふたつある。

ひとつめは、
先ほどかいたように、盲目の時には神々しいともいえる雰囲気を兼ね備えていた少女が、見えるようになった途端、普通の人になってしまったということ。
それはつまり、人間は自分とは違う存在に対して、勝手に別の次元の存在だと感じてしまうのだという点。
彼女は見えないから、聴覚や勘がするどくなっていた。
彼女は見えないから、諦めに近い何かがあり、それが逆に堂々とした自信に見えさせていた。
それを、我々とは違う何か優れた能力を持った人、全てがきっと見えている人に見えさせたのではないのだろうか。

ふたつめは、
盲目だからこそ音が必要なのではなく、盲目だからこそ音は必要ではなかったのだ、というところ。
「音」という認識が、健常者と盲目者に差があり、それが事件への引き金のひとつともなっている。

盲目の人にとって必要なのは自然の音だけで十分で、健常者の耳には自然の音はないも同然として認識されているのだなぁと思い、小説から意識を話し、ふとその時の音に耳を済ませてみた。

ガラス一枚隔てた向こうから聞こえる車の音、店内の人の話し声、有線のBGM。。。

ほんとうだ。
小説に集中していたためまったく意識していなかったけれども、こんなにも音に溢れているんだ。
そして視覚があるがために他のものに意識が向けられていて、自然の音の素晴らしさを人工の音で打ち消してしまっているのかもしれない。

それへの少女の苛立ちが、新鮮だった。


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