今日の一枚 part

My style,My life 〜心に響く写真を、心に残る何かを。

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

photo by スポンサードリンク

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない -桜庭一樹

 satougasi


「少女七竈とかわいそうな7人の大人」から桜庭一樹の作品に入り、そして魅了され、
まずは著者の初期の頃の作品をと次に手に取ったのがこれだった。
前作に続いて特徴的なタイトルは、個人的にはセンスがあると思う。つまり、かなり私的ツボ。

そして、七竈の古風な文体はあの作品に限定されたものだったのだとわかる。
けれどここでも同じように独特な表現が使われていて、それは不思議だけれど、なんだか心地いい。
そんな視点で語るのかと、新しい発見を運んできてくれたかのように関心してしまう。

もしも「正しい小説の書き方」なるものがあったのならば、きっとそんなルールは片っ端から無視してるのではないかと思う。著者の、著者ならではの世界で、ならではの表現が好きなようにのびのびと広がっている。

 

この物語は、結末から始まる。
海野藻屑(13歳)のバラバラ死体が発見されるところからだ。

物語はその一ヶ月前に遡り、
その誰もがわかっている悲惨な結末へ向かって確実に進行していくのだけれど、
もしかしたら。違って欲しい。実はどんでん返しがあるのでは?とつい期待してしまう。

それは生きている間の海野藻屑の輪郭があまりにもくっきりと描かれていて、
だからこそ健気に生きている少女に早くに大人になって武器を手にできるようになって欲しいと願う。

けれどまだ13歳である二人にとって、その現実は目の前に横たわっていた。
まだ義務教育中の未成年であり、親の保護無しには生きていけない、親を選べずに生まれてきた子供だということ。

なんていうか、、、、一日で一気に読んでしまいました。
衝撃的なのにコミカルで、そして美しいお話です。
さらにさらに、桜庭一樹ワールドにハマりそう。。。



photo by mamiya2
JUGEMテーマ:日記・一般



「生きることに関係なさそうな些末なことについては悩まない、関わらない」という取り決めを魂と結んだ山田なぎさは、13歳にして実弾にしか興味がなかった。

だから2学期の初めに突然訪れたおかしな転校生である海野藻屑にも興味を持たなかったし、生きる理由だとかをわざわざ考えようとも思わなかったし、社交界でうまく立ち回ることよりも孤独を良しとした。

実弾。
それはつまり簡単に言うところのお金だ。
それに関わらない事は一切を無視した。

 

このように、物事に優先順位をつけ、割り切り、捨てる。という行為は、
折り合いのつかない混沌とした何かを、自分じゃ抱えきれない何かを解決するときの最終手段だ。

強く生きるために、ブレないで突き進むために、
それに不必要なものは「些末はもの」とし、切り捨てていくしかない。
そうでもしないと、目の前に高くそびえた困難な壁を乗り越えるための、一点突破力を養えないのだから。

逆に言えば、優先順位をつけられずに、あれもこれも、それもどれも、と、欲張りになっているのは、この物語でいうところの「貴族」なのかもしれない。

例えば、生きるか死ぬかと、写真という趣味のどちらを取るのか?と選択を迫られれば、一も二もなく前者と答えるだろう。けれど、写真という趣味と、たくさんの友達のどちらを取るのか?と問われれば、それは色んな条件を並べ立てて整理しなければ選べなかったりするだろう。

つまり貴族というのは、それほどの切実な状況に立たされていない、ということ。
ひきこもりだとか、上司が嫌で会社をやめるだとかは、つまりそれは生きていく事に不安がないからできる貴族だからなのだ。

13歳という年齢でそういった整理をしなければならなかった山田なぎさは、なるほど理解できるところがある。けれど、逆に実弾には全く興味がなく空想ばかりしている海野藻屑は一見貴族のようだが、その裏にはこれまた切実な理由が隠されていた。

同じように「子供として安心できる場所」がなかったその2人の差は、大人になる事への希望があるかないかなのかもしれない。大人になることすらも諦めたら、実弾なんてことは意味がなくなる。だって実弾は生きるために必要なのであって、生きることを諦めていたら、そこに必要なのは実弾より空想、つまりは砂糖菓子でできた弾丸なのだろう。


海野藻屑は、救われるべきだった。

<< 私の周りにふわふわと風船がたゆたう | main | 船上で想い、海へと散る。 >>

スポンサーサイト

photo by スポンサードリンク









blog information

>> Latest Photos
>> Recent Comments
>> Links

このページの先頭へ

無料アクセス解析