今日の一枚 part

My style,My life 〜心に響く写真を、心に残る何かを。

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日本海

20090720_sea

photo by mamiya2
JUGEMテーマ:写真


さっきからずっと、じっと海に向かって膝を抱えている彼女の隣に、なんとなしにぽんっと座った。
きっとそこには彼女の笑顔が待ち受けているのだろうと想定して横を見やると、その瞳は熟れはじめた果実のように赤く充血し、涙が流れていた。

僕はびっくりして、 「どうしたの?」 と反射的にたずねると
彼女は白く細長い腕でまっすぐ海の方を指差して 「だって、日本海だから。」 とだけ言った。

彼女の答えと涙の理由を関連付けられないで僕が混乱をしていると、
「日本海は見て泣くものでしょ。」 と、説明になっているのかよくわからない事を言う。

なるほど。
確かに太平洋側より日本海側の方が自殺スポットが多いのはそのせいかもしれないなぁと、ひとつくらい彼女の言い分に納得できるポイントを無理矢理探してきては、少し納得した。

そんな僕の思考の整理を待たずに、彼女は続ける。

「なんだかね。日本海は、孤独の象徴のような気がするのよ。
 失恋した友人がね、まずしたことが、日本海を眺めることだったんだって。東京に住んでいたのに、わざわざ縁もゆかりもない土地へ来て海辺でひとり泣いてるのよ?面白いわよね。」

いったいその話のどこに笑うポイントがあったのかわからなかったけれど、僕はそうだねと同意しておいた。女性の涙にはそれだけの威力がある。

そして彼女は、それを一気に捲くし立てるように話し終えると、また、黙って海を眺めた。
ぎゅっと膝を抱えてコンパクトに体を折りたたんでいる彼女の背中は、とても小さく、そして孤独に見えた。

あぁ、彼女はいま、孤独の真っ只中にいるのかもしれない。
なんとなくそんな感じがした。

この海岸まで少なくとも車2台で移動する程の仲間と共に来たというのに、彼らとは離れたところで、ひとり、じっと海を見やる。その行為こそがを団らんを拒絶し、孤独を愛しているようにも見えるのだが、きっとそんな単純な事ではないのだろう。

一度隣に座ってしまった手前、僕はここから立ち去る事も、かといって返す言葉も見つからないでいた。だからただひたすら隣に座って、日本海から感じる孤独というやつを僕も真正面から受けてたってみた。ビシビシと無遠慮にぶつかってくる日本海から吹きつける風は、夏といえども確かに何かを叱責されているようで切なく苦しい。

「じゃあ、次の企画は、初島にしようか。」

太平洋にぽつんと浮かぶその島を思い浮かべて、僕は未来への提案をつぶやいてみた。
すると彼女は不意をつかれたような顔でこっちを見たかと思うと、さっと笑みがさした。

「うん。ご機嫌な島だね。」

その笑顔は言葉のとおりご機嫌な笑顔だった。
そう、すべての幸福を手に入れたかのような、いつもの彼女の笑顔だ。
僕はその企画を実現する事を、心に固く決めた。


 

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